【スレ40】1994年に90歳を超えて大往生した曽祖父を土葬した人
457 名前:おさかなくわえた名無しさん 2009/02/11(水) 20:43:35 ID:hPtBbH1/
15年前の話ですが、曽祖父を土葬しました。
90歳を越えた大往生だったので、
一連の行事は淡々としていました。
田舎らしく、葬式は葬祭会館ではなく、
家の座敷のふすまや引き戸を取り払ってやりました。
まず、亡くなってからしばらくは、
仏間にまだ布団に横たわったままの状態で
遺体を置いておきます。
その間に通夜の準備を親戚の女衆総出でやります。
お酒や灰皿、料理の準備とか。
メインには仕出屋の弁当やオードブルが来るのですが、
煮物の大鉢や味噌汁などは作るのです。
男衆は共同墓地に土葬のための墓穴を掘りに行ったり、
頂いたシキビ(開店祝いの花輪?の葬式バージョン)や
フルーツ盛籠を並べたり。
そんなことに大の男が何人も……と思われそうですが、
○○家の物が××家のそれと隣り合ってはいけないなどという
田舎ならではのアレコレがあるのです。
正直そういう準備があるので
「しんみりと遺体の脇に座して語りかける」
などやってる暇などありません。
お通夜の日の昼間、
やっと曽祖父を仏間脇の小部屋へ移し、
その前に祭壇を設置しました。
普通なら祭壇の前にお棺があるのですが、その逆ですね。
お通夜でお経を読んだのは、
「上人さん」とうちの地区で言っている最寄のお坊さん一人でした。
翌日のお葬式には、本山から、
なんかキンキラキンの装束をまとった
偉いお坊さんが3人ほど来ていました。
実家辺りではお坊さんといえば上人さんだけだったので
「ああ、これが葬式坊主って人なのかな」
という感想を持ったのを覚えています。
お葬式が終わると、
身内や特に親しい近所の人だけがその場に残ります。
(他の人は帰ったり、別の座敷で酒食してます)
小部屋から曽祖父の遺体を出し、お棺に入れました。
普通の細長いお棺ではなく、60cm×60cm×120cmくらいの、
単身者の家にある冷蔵庫みたいな形のお棺です。
そこに曽祖父を「屈葬」状態にして入れて、
頭には白い三角の鉢巻(幽霊がよくやってるやつ)
を巻いてあげていました。
お棺の準備ができたらフタを閉めて
紐を幾重にも絡め、太い天秤棒に通して外に運び出します。
遺影・位牌・鶴亀(金属製の模型です)・墓標などなどを担当の者が持ち、
そこに天秤棒を担ぐ役も加わり葬式行列が出来上がります。
458 名前:おさかなくわえた名無しさん 2009/02/11(水) 20:44:54 ID:hPtBbH1/
お棺はさすがに重いので、天秤棒を担ぐのは
身内や近所の20歳~50歳くらいまでの男衆が何人もでやります。
そのままゆっくりと、
田んぼの真ん中にある共同墓地まで移動します。
この共同墓地は町全体のもので、
町をさらに細かく分けた単位ごとに
大体の埋葬場所が決められています。
墓地には先述の墓穴がもう掘られているので、
男衆は注意しながらゆっくりと穴の中に棺を下ろします。
棺が穴に納まったらもう一度蓋を開け、
上人さんがもう一度お経を読んでくれて、皆で合掌。
チーンと上人さんが手持ちの鉦を鳴らして、追悼モードは終了。
次の瞬間、身内の男(うちの場合は私の父と祖父でした)が
穴掘り用のスコップを手に持ち、曽祖父の棺に土を入れ始めます。
これは、共同墓地の面積には限りがあるので、
遺体をスムーズに土に還す(=腐らせる)ためだそうです。
土を入れないで埋めると、やがてそこが陥没して
墓標が倒れたりもするので、それを防ぐ目的もあるそうです。
曽祖父の顔が土で半ば見えなくなったところで、
お棺にふたをして今度は本格的に土を埋め戻し、
木製の墓碑や卒塔婆を立てます。
そこにお線香を立てて和菓子などを備え、
最後にまた合掌して土葬は終りました。
これが、曽祖父のお葬式のあらましです。
天秤棒にくくったお棺を見て
「時代劇で、罪人が網をかけられた籠に載せられるシーンみたいだ」
などという感想を持ちました。
本当に罰当たりなひ孫でした、今思えば本当に申し訳ないです。
一方、数年前に祖父が亡くなった時は、
時代の波で火葬になっていました。
火葬場で骨を拾って、木製の小さなお棺に入れて
先述の共同墓地に埋めました。
この時のお棺は、骨壷よりもさらに小さくて、
「チップスター」のミニサイズくらいの大きさでした。
当然曽祖父の時より墓穴も浅く小さくて、
埋葬はあっけないほど短時間で終りました。
葬式行列も、家を出て道の開けた場所に
停められていた霊柩車の位置までで、短かったです。
個人的にいえば、火葬よりも、
遺体をそのまま生める土葬の方が
「ああ、これでお別れなんだ」
と心に響くものがあった気がします。
「埋めなおし」はありませんでした。
地域によるのでしょうか。
余談ですが、共同墓地とはまた別に、
お寺にはちゃんと石製の「○○家代々の墓」があります。