【スレ46】火力発電所運転員
964 名前:おさかなくわえた名無しさん 2009/10/28(水) 10:25:41 ID:hPMg7ujA
火力発電所運転員の思いで話
当時勤めていた電力会社は共同火力でした。
某電力会社と某製鉄会社との共同出資で作られた会社で、
その目的は製鉄所の高炉で燃やすコークスの燃焼排ガスを再利用し、
発電の燃料にするのです。
ガスの名称はBガス。
普通の家庭では利用できないカロリーが1立方メーター当たり
550kcal から700kcalくらいで低い物でした。(←ここ注意)
家庭用のプロパンガスは4000kcal以上あるでしょう。
普通の火力発電所でしたら電気の貯蔵は出来ませんので、
毎日の時間や、季節にて発電機の稼働は変化します。
午前8時から増えて行き、12時―13時は低下し、
夏場の午後2時―3時は最大出力となり、
午後11時くらいには、停止する発電所もあります。
私の勤務の所では送られて来るBガスを燃やす義務がありますので、
そんなに頻繁に出力の変動はありません。
送られて来るガスの量にて深夜でも出力が変動するくらいです。
965 名前:おさかなくわえた名無しさん 2009/10/28(水) 10:26:55 ID:hPMg7ujA
時々事件が起きます。
突如高炉の内部で燃焼の変動があり、ガスのカロリーが急増するのです。
瞬間に倍の1700kcalになります。
するとボイラーの圧力が1.2倍以上になり安全弁が開くのです。
もちろん防音装置も法定で付いていますが、その轟音たるや
皆さん、蒸気機関車の警笛を聞かれた事がありますか??
その100台分くらいです。
火力発電では小さなところですが、その圧力は120kあります。
殆んど蒸気爆発状態です。
ブワーンブオー、ブシュー見た目も蒸気が派手に出ます。
すると、ご近所から苦情の電話が来ます。
「こんな深夜になにやっているんだ、うるさいじゃないか!!」
電話での対応はその時の運転係の最高責任者の係長の仕事です。
ボイラーはその内部圧力を感知して、注入される燃料量を自動調節しますが、
そんな高カロリーガスの対応なんか、直ぐには出来ないのです。
運転員は精いっぱいの対応をしているのです。
終わり。
966 名前:おさかなくわえた名無しさん 2009/10/28(水) 11:41:54 ID:DPk6rnfv
火発の人面白い話サンクス
近くに住民がいるような所にも建設されるんですね
工業地帯・山奥・海辺に建ってるイメージです
967 名前:おさかなくわえた名無しさん 2009/10/28(水) 11:56:25 ID:pl7kza5i
蒸気機関車100台分と言うからには
半径数十キロに響き渡るんだろう、夜中なら特に。
あんまり人里離れた所に作っても、送電の効率が落ちるだろうし、
その辺の兼ね合いが難しそうだね。
ところで俺だったらそんな音が聞こえたら、
クレームと言うより心配で問い合わせの電話をする気がするんだが、
苦情ということは結構頻繁にあって住民も慣れっこになってるんだろうか。
頻度を知りたい。
972 名前:964 2009/10/28(水) 16:47:40 ID:hPMg7ujA
>>967
その音量の例えを他の事象で言うならば、
自衛隊の儀礼での110mm野砲の空砲くらいです。
2k離れた寮まではハッキリ聞こえました。
戦禍の響きは相当に、遠くまで響くようですから、どのくらいでしょう?
その安全弁動作は年に1,2度くらいでした。
どこの火力に原子力発電所でも、
蒸気ボイラーがある所で事故で発電機が停止したら、
同時に燃料も遮断され炎も消えますが、
それまでの、熱量がボイラーや水管内に残っています。
その蒸気のエネルギーが行き所が無くなり、安全弁は動作します。
又、発電所は直ぐに停止する構造になっているのです。
それは機器の損傷で数十から数百億円の損害が出るので
少しの異常をセンサーが感知して
インターロックで全部の機器が、同時に停止するのです。
よく、何処かの原子力発電所が
何らかの原因で停止したと報道がありますが、
それ正常だからチャンと停止したのです。
発電機とタービンの軸のぶれ、電気系統の地絡、落雷、
軸の潤滑油の圧力低下、軸回転異常上昇、
もう停止する要因は沢山あります。
人為的ミスもありますし・・・
973 名前:おさかなくわえた名無しさん 2009/10/28(水) 16:53:29 ID:45lwgcM8
停止しなかったのがチェルノブイリなんだよな…
975 名前:おさかなくわえた名無しさん 2009/10/28(水) 19:03:12 ID:krxTmtyT
>>965
深夜でも電話が繋がっているというのがいいね。
今日日は人がいても時間外は出んようなところが多い。
976 名前:おさかなくわえた名無しさん 2009/10/28(水) 19:56:07 ID:pl7kza5i
>>972
レスありがとう。
面白かった。
977 名前:964 2009/10/28(水) 20:22:33 ID:hPMg7ujA
大事故発生
当時、その小さな電力会社は労働災害無事故130万時間を誇っていました。
会社の入り口には大きく来客に見えるように表示してありました。
つまり140人の社員が月200時間、1年間(12ヶ月)働くと=336、000時間
1300,000÷336,000=3.86年
約4年間も全社員が仕事中に怪我した労災の申請者は居ない。
我社は安全労働の模範のような環境なのです。
…と誇っていたのです。
裏の話です。
会社敷地内を取水口点検の為にバイクに乗っていた運転員と、
定期検査に来ていた業者のトラックと接触、引きずられて、
尻に大きなアザができていた。
その彼に総務課長が手土産持参で、「出社してくれ」と依頼してきた。
全治1週間ですよ。しかたないと出勤したそうです。(金銭の保障は無)
978 名前:964 2009/10/28(水) 20:23:38 ID:hPMg7ujA
その連続無事故は、
とうとう女子事務員さんが入院して、オシャカとなってしまった。
原因は、当時では唯一のコピー方法でした、
青焼コピー機の現像液が目に入り、長期入院されたのです。
それからは無理な無事故延長記録の熱は冷めてしまいました。
めでたし!!
親会社のS友金属では、腕の骨が折れたくらいでしたら、班長が来て
「とにかく職場に来てくれ、椅子に座っていてくれたらいいから」
とサラッテ行くそうでした。
…そんな時代でした。
今ならば、さあどうなりますか?