【スレ10】文芸翻訳家
311 名前:おさかなくわえた名無しさん 2005/08/09(火) 19:57:19 ID:riYo0kM4
文芸翻訳の話もいいですか?
自分は別の仕事もしている、
ほとんどキャリアのないのタマゴ翻訳者です。
同棲してる彼も別に仕事を持ちつつ、
そこそこキャリアがある翻訳者。
以下は主に彼の場合だと思ってください。
新刊を訳す場合、まずは出版社から打診があって
仕事を引き受けた後、版権の交渉となります。
定評がある作家の作品や、すでに海外でベストセラーになっている場合、
先に版権を押さえから翻訳者を探す方が多いです。
そうしないと他社に取られてしまうので。
ちなみに、出版されて50年以上経過したものは
版権が消滅しているため自由に翻訳・出版が可能です。
ただしこの場合、他社とかち合ってしまい
同じ本の訳が二つ、というケースもまれにあります。
あるいは、こちらが原書を読んでイイ!と思った場合、
その本の紹介レポートを書いて、編集者さんに出版を交渉することもあります。
もっとも、この方式だとあまり「やりましょう」とはならないですね。
出版社もあくまで「売れる可能性の高い本」を出したいわけですし、
昨今の厳しい経済状況から、慎重な対応がほとんどです。
通好みの訳書を中心に出している所だと、
積極的に引き受けてくれることもありますが、
印税代わりに現物支給、ということもあったりします。
312 名前:311 2005/08/09(火) 19:58:46 ID:riYo0kM4
翻訳作業にかかる時間は三ヶ月から半年、モノによっては数年。
その後何度か校正を行い、晴れて出版です。
メジャーな出版社だと、翻訳者に入ってくる印税は6~8パーセントが相場。
ベストセラーならともかく、何千部単位ならン十万~百万円前後くらい。
(増刷されたら、その冊数に応じて追加でもらえます)
なので、正直そんなに儲かる仕事ではありません。
とくに学者さんが出される学術書の場合、
取り分はないか、あっても雀の涙だと思います。
お金よりも、ひとつの本を日本語にして世に送り出す喜びが
この仕事の最大のやりがいです。
小説の翻訳者目指して
何らかの翻訳学校に通われている方もいるかと思いますが、
これだけで食べていく、というのは至難の業なので
そういうつもりならばはっきりいってオススメできません。
また、そうしたところのコースを修了したとしても、
仕事を継続してもらえる保証はない、と思ったほうがいいです。
あったとしても、自分の望む仕事が回ってくる可能性は低いかと。
こういう書き方するとアレですが、
むしろ出版業界に顔のきく知り合いを持っているほうが話は早い気がします。
そこでまずは軽い仕事を引き受け、徐々に大きな仕事を引き受けつつ
ステップアップする、という感じでしょうか。
313 名前:おさかなくわえた名無しさん 2005/08/09(火) 21:49:00 ID:QYEyiRqa
現物支給の現物が何か気になる
PCとか図書券とかかな
315 名前:311 2005/08/09(火) 22:40:50 ID:riYo0kM4
>>313
出来上がった本を何冊かもらえると言うことです。
ある訳本(日本ではほとんど知られていない作家の作品)を
小さい出版社から千部出してもらったとき、
印税ゼロの代わりに自分の訳本数十冊支給、ということがありました。
それはほとんど趣味の仕事だったので、
出版してもらえるだけで、ありがたいお話でしたが。