【スレ29】分業の扇子職人
906 名前:おさかなくわえた名無しさん 2007/10/31(水) 04:22:01 ID:LQfbOhVg
日本舞踊や狂言等で使う扇子を作る仕事をしています。
扇ぐのに使う扇子より随分大きいです。
作っていると言っても、作業は分担になっています。
大まかにわけると紙の部分の扇面と
持ち手の部分の骨にわかれています。
扇面
・扇の形に紙をカットする人
・その紙に印刷する人
・手書きで絵をかかはる人
・絵や印刷が仕上がった扇面をハリセンを作るように折っていく人
折る作業はとても難しくて、
折って畳んでみた時にぴったりそろってないと
使い物にならないそうです。
骨
・持ち手の部分を作って、漆をぬる人
・骨にノリを塗って扇面に挿しす人
・一番外側の太い骨を火で炙って曲げて扇子にノリでくっつける人。
骨の一番上だけは、それを専門にやってる骨屋さんらしいですが
基本、それぞれを担当する人の家に材料を送って
できあがったら送り返してもらうという形みたいです。
909 名前:おさかなくわえた名無しさん 2007/10/31(水) 10:23:19 ID:Xqzx/7Gb
>>906
今は亡き叔母が日舞の名取だったので、
興味深く読ませていただきました。
906さんはどの部分を担当しているのですか?
914 名前:おさかなくわえた名無しさん 2007/10/31(水) 11:03:34 ID:9Ip+9EpK
>>906
うわ、扇子屋さん北!めっちゃ興味ある!
質問!
どうしてその職につかれたのですか?
その職には世襲的な色はどの位ありますか?
月にどの位の数をこなされるのですか?
また、下世話ながら、単価は…?
知らない職人さんの生活には興味津々です♪
つか、職人さん、あこがれます。
915 名前:扇子 2007/10/31(水) 11:25:18 ID:LQfbOhVg
>>909様
私が担当しているのは、
骨の一番下”一番外側の太い骨を火で炙って~”係です。
火と言ってもアルミの箱2個並んでる七輪ですが、
夏場は汗だくになります。
何故炙るのかというと、竹でできているからです。
竹ヒゴを熱で曲げるように、扇の外側の太い骨も炙って曲げます。
そうする事によって閉じたときに音が鳴ります。
曲げが少ないと、閉じたときの音が悪くなり、締まりも悪くなります。
反対に多すぎても、閉じるときに逆折れという現象が起こってしまい
扇子がダメになります。
音も良くて、開け閉めの締まりも良い、
丁度良い加減を見極めるのが大変です。
人間国宝級の職人になると、
>>906の仕事を殆ど一人でこなして仕舞われるそうですよ。
日舞の名取をなさっていた叔母様がいたなんてうらやましいです。
周囲におどりの経験者がいないので、
(仕事上所作なら少しだけ知っているのですが)
一回見に行ってみたいなあとは思っているのですが、これがなかなか。
919 名前:扇子 2007/10/31(水) 11:54:58 ID:LQfbOhVg
>>914様
この仕事を始めるきっかけは、
地元情報誌に載っていたからです。
普通ですみません。w
一ヶ月あたり大体千~千五百本くらい作ります。
今の時期がとても忙しくて、先週までデスマーチめいていました。
特に検品さんが死にそうになってて‥
単価はだいたい30円以上100円以下、
サイズや扇子の種類で変わります。
世襲的な色は、知っている範囲ではありませんが
これから行くので聞いてきます。
952 名前:扇子 2007/11/01(木) 11:27:06 ID:p+89tKsm
こんにちは、扇子です。
世襲的な色についてアレコレ聞いてきました。
伝統工芸品の時点でなんとなく予想はついていたのですが‥
どの分業も世襲的ではあるんだけれども、後継者がやりたがらない。
というのが現実らしいです。
後になってしたがるらしいんですけど、
それはサラリーマン等をして退職を向かえてからだそうで
60を向かえてから一から始めるには、ちょっと難しいそうです。
それなのでお店を畳むことはあれ、増えることは無いので
国内の骨屋さん、扇面屋さん等は減る一方で頭が痛いそうです。
C国製もあるのですが、質が悪すぎて使い物になりません。
10年くらい修行を積めば、若い人になら一人前になれるそうなので
もし興味があって職がなかったら、如何でしょうか。
あ、あと>>906の内容が一部間違っていました。ごめんなさい。
扇子の印刷の部分なのですが、印刷する人が何人もいて
・下絵を印刷する人
・金箔で模様を貼る人
・キラキラしたものをくっつける人(ラメ入りとかありますw)
・銀色の模様を印刷する人
・紋(おどりの流派の紋入り。金箔でおします)を入れる人
扇面の模様が凝っていれば凝っているほど携わる人が増えていきます。
増えていくと、私の所に来たときに納期ギリギリになっていて涙です。(つд`;)
953 名前:おさかなくわえた名無しさん 2007/11/01(木) 11:33:40 ID:lNPR8Bb8
流派とか踊りの種類によって、この流派にはこういう扇子とか
そういう決まりみたいなものはあるんですか?
954 名前:扇子 2007/11/01(木) 11:33:52 ID:p+89tKsm
おまけにちょっと小話を。
去年だったか、面白い注文が来ました。
ホストのお兄さんの名前が入った扇子らしいで~♪と検品のお姉様がいうので
どんなかな、と楽しみにしてたら、きたよキタヨ。
表も裏も金箔(両金と呼んでます)の扇。
そこに太い筆でお相撲さんの名前を書くような書体で
ホストさんのお名前が扇面一杯書かれていました。
それまでずっと舞扇ばかりだったので、
こんな注文にも柔軟に答えられるのかーと
ウチのお店にビックリした覚えがあります。
今も使ってくれてるでしょうか‥。(*-ω-)
955 名前:扇子 2007/11/01(木) 11:39:27 ID:p+89tKsm
>>953さん
流派では特に決まりは無いみたいです。
紋が代わりに入るみたいです。
舞の種類ではあるみたいです。
このおどりにはこの扇子~とかはあるかもしれません。
日舞をする人と、狂言する人の扇子は大きさもなにもかもちがいます。
あと、日舞の扇子にもサイズがありまして
男性用は1尺、女性用が9.5寸、子供用が8寸~9寸になっています。
957 名前:おさかなくわえた名無しさん 2007/11/01(木) 11:45:20 ID:lNPR8Bb8
即レスありがとうございます
ホストさんの話が出てましたけれど
そういう、ちょっと変わった扇子とか注文されたことって
他にあるんですか?
あと、時期によって忙しい時期とかあったりしますか?
958 名前:扇子 2007/11/01(木) 12:06:00 ID:p+89tKsm
>>957さん
変わった扇子の注文がきたのはそれっきりですね。
忙しい時期は先月でした。
発表会とかこの季節多いのかな~?
990 名前:おさかなくわえた名無しさん 2007/11/03(土) 14:07:47 ID:szGcDAG0
>扇子職人さん
日舞の名取です。興味深く読ませていただきました。
先日十年以上使っていた愛用の舞扇をお稽古中に割ってしまい、
新しいのをおろしたばかりなので、
職人さんの話を読んで改めて大事に使いたいなと気を引き締めました。
私がこうやって舞を楽しんでいられるのも、
職人さんたちのおかげだなあと今更ながら感謝の気持ちでいっぱいです。
有難うございます。