【スレ6】年1回公演のマイナー劇団員
32 名前:2015/01/03 04/12/30 17:12:24 ID:6nI4bBuw
ある弱小劇団員の生活
劇団○季のような本格的な所じゃなく、ローカルでマイナーな劇団です。
だいたい1年に1回公演があります。
今回書くのは夜開演の日の1日の流れです。
朝9時ごろ控え室に荷物を置き、舞台に集まる。
ステージに立ったときの総毛立つようなあの感覚は、何度体験しても慣れません。
発声練習や柔軟体操、腹筋や腹式呼吸の基礎をやった後、ゲネプロ
(本番前の最後の通しリハーサル。衣装や舞台装置、照明や効果音など本番通りにやる)開始。
本番同様、例え間違えてもそのまま押し切って続けます。
しかしこのゲネプロで間違えると、
本番までの待ち時間にものすごく緊張してしまうし怖くてたまらなくなります。
でもゲネプロでボロボロだった人が本番では今までで一番の好演をしたり、
ゲネプロが完璧だった人が本番で大コケしてしまったり。
ゲネプロが終わり次第昼食。
お弁当が出るのでみんなで控え室で食べます。
仲のいい他の劇団や、関係者の方から飲み物やお菓子が差し入れされるのでいただきます。
昼食が終わると監督・演出から最後のダメ出し。
ゲネプロでダメダメだったシーンをもう1度やったり、
出演者自身が不安だったり納得行かないシーンをもう1度やったりします。
ここで、あと数時間で本番なのにいきなりセリフや動作が変更になることもあります。
6時前に夕食を済ませ、メイク開始。
基本的には自分でして、演出家に見せて仕上げてもらいます。
舞台用メイクは、ドーランというものを使います。
普通の化粧品だと汗ですぐ流れるし、ライトが当たると顔が真っ白でのっぺりして見えるので。
舞台に立ってライトを浴びると、動かなくても汗が出ます。ライトの光って熱いんです。
33 名前:2015/02/03 04/12/30 17:12:56 ID:6nI4bBuw
で、とうとうブザーが鳴ります。
幕が上がる5分前に1回、幕が上がる直前に1回です。
出演者は舞台裏でひっそりと円陣を組み、
小声で気合いを入れます(お客さんに聞こえないように)
一歩舞台に出てしまえば不思議と緊張は静まります。
私たちはまだまだ未熟なので、全員が「役に入れる」ことはあまりありません。
私は1回だけ、うまく「役に入る」ことができました。
「役に入る」って言うのを説明するのはかなり難しいんですが、
なんていうか、役がただの「役」ではなく、
一人の人間として役者に降臨(憑依?)するような感じです。
その人が「役に入ってる」のは周りの役者もわかります。
そしてそれが起爆剤になって、周りの役者も「入れる」ようになることが多いです。
本当に不思議な世界です。
狂気と紙一重の熱意が、舞台上には渦巻いていると思います。
舞台やスタジオは幽霊が出るとよく聞きますけど、出ても不思議ではない気がします。
本番中はもちろん色んなハプニングがあります。
セリフがいきなり1ページ以上飛んでしまったり(飛ばしてしまった本人は気付いてなくて、
周りがどうフォローしようか内心焦ってる場合が多い)、小道具が壊れたり、
セリフ忘れて一瞬変な間ができてしまったり、衣装が破けたり、怪我したり。
ちなみに役者がセリフを忘れてしまったときのために、
舞台の陰には「プロンプ」というセリフをこっそり教えてくれる人がいます。
そんなこんなで舞台終了、カーテンコール。
みなさんの拍手を全身で受けると本当に嬉しさでいっぱいになります。
ここでお客さんから役者に花束が贈られたり。
でもたいていは受付嬢経由で控え室に置いてあることが多いです。
舞台が終了すると役者は急いで着替えてメイクも落として片づけのお手伝いに行きます。
舞台は裏方さん無しでは成り立たないので、
感謝や労りの気持ちは常に忘れないように心がけています。
34 名前:2015/03/03 04/12/30 17:13:31 ID:6nI4bBuw
絶望的な状況のことを「奈落の底」とか言いますが、あれは舞台用語です。
舞台装置などを収納する大きなスペースが舞台のずっと下にあり、そこを奈落といいます。
舞台の床が下に下がるようになっているのですが、
舞台から奈落に転落すると死ぬので細心の注意が必要です。
でも舞台床がウィ~ンと下がったりまた上がったりするのはおもしろいですよ。
秘密基地の入り口みたいで。
片づけが終わったら打ち上げに行きます。
本番から数日後のこともあるし、当日そのまま行くことも多いです。
みんな高揚状態で酔いが回る回る。
同性だろうが異性だろうがキスしまくる人とか、脱ぎ出す人とかの困ったちゃんが多いです。
素面の時はみんなすごくいい人たちなんですけどね。
それから役者は、本番前に必ず悪夢を見る人と見ない人に分かれるようです。
見る人は毎年必ず見るし、見ない人は毎年必ず見ません。
どんな悪夢かというと、幕が上がるとお客さんが一人もいないとか、
セリフを忘れて舞台上に立ちつくすとか、そういった内容らしいです。
ちなみに私は見ません。
それから本番が終わってもずっとセリフを忘れない人と、
終わった瞬間全部忘れる人にも分かれます。
ちなみに私はソッコー忘れます。
舞台を一番楽しんでいるのは、実はお客さんじゃなくて役者です。
一度嵌ったらなかなか抜け出ることはできません。
みなさんも機会があったらお芝居に参加してみてください。
38 名前:おさかなくわえた名無しさん 04/12/30 19:02:10 ID:0jayZp3k
高校・大学と演劇やってたから懐かしかったー。
「役に入る」瞬間、私も一回だけあったなあ。
思考や感情がいつの間にかその人物になってた。意識せずとも。
>>32-34
年に1回ぐらいの公演ってことは、団員の皆さん、
会社員の方も多いのでしょうか?
普段はどこでどんなふうに稽古してますか?
日常生活の中で、変に動きにキレがあったりしませんか?
39 名前:おさかなくわえた名無しさん 04/12/30 19:17:29 ID:7YvqWs2C
年一回って少なくないか?
そんなもん?
43 名前:32 04/12/30 20:48:59 ID:6nI4bBuw
>>38
自分とは違う誰かになれるのが演劇の魅力ですよね。
劇団員は主に社会人や学生ですね。
下は中学生から、上は70代くらいのご婦人まで年齢層も様々です。
普段は市民会館などの施設を利用して練習しています。
本番前は普通の会話をしててもセリフが混ざってくることがよくあります(笑)
>>39
うちの劇団は普段会社に行ったり学校に行ったりしている人たちが
夜集まって練習するスタイルなので、これ以上公演の回数を増やすと
とてもじゃないけど練習が追いつかないんです。
でも大女優さんの中には、台本を1回読んだだけで覚えてしまう人もいるらしいですね。
>>40
芝居だけで生活しているわけではないので極貧な人とかはいないんですが、
本番前はみんなそれぞれ大変そうです。
チケットさばけないで困っている人、風邪ひいて点滴うちながら練習している人、
公演日直前に身内がお亡くなりになってしまった人など。
あ、最後に一つだけお願いが。
舞台の真っ最中に客席から携帯の着メロがなると役者はとても凹みます…。
マナーモードにしておいてくださいね…。
44 名前:おさかなくわえた名無しさん 04/12/31 01:30:01 ID:c0FvgG3R
>>34
奈落って何メートルぐらいあるんですか?
45 名前:おさかなくわえた名無しさん 04/12/31 01:32:13 ID:c0FvgG3R
>>43
>マナーモードにしておいてくださいね…。
マナーモードでいいんですか?
電源は切らなくていいの?音響とかに問題出ませんか?
音楽の世界では電源切るのがマナーなんですが。
86 名前:32 05/01/02 10:20:59 ID:SwpsA5ke
>>44
そういえば何メートルなんだろう?と思ってググってみたら、
劇場によって違うみたいですね。
新国立劇場はなんと16mだそうです!
>>45
「せめて」のつもりで言いました。言葉足らずですいませんorz
携帯が音響効果に支障が出るかはわからないんですけど、
演劇と演奏は同じ音響ではない、という話は聞いたことがあります。
演奏のときは音が響いた方がいいんですけど(余韻などを残すため?)、
演劇で声が響くと何言ってるのかよくわからなくなるので、
催し物によって客席の壁をひっくり返すらしいです。
(音を響きやすくする壁と、音の響きを押さえる壁と、壁の裏表で役割が違う)