【スレ9】水族館の飼育係
146 名前:おさかなくわえた名無しさん 2005/05/22(日) 22:13:09 ID:yX6JiwDf
水族館の飼育係は需要ある?
148 名前:おさかなくわえた名無しさん 2005/05/22(日) 22:40:21 ID:ckPxfuqe
聞きたい!!
水族館の人って学歴ないと駄目って聞いたことあんだけど
本当ですか??
155 名前:146 2005/05/23(月) 01:45:08 ID:BzzEPJgS
どうもです。
出勤したら各担当水槽を回って異常がないかチェックし、
死んだり具合の悪い生物は開館前に取り上げます。
開館まではアクリルガラスの汚れ取りのため、
大型水槽の担当は潜ったり、小型水槽ではガラス磨き用のスポンジ片手に走りまわっています。
海獣等大量にエサを切る部所では、当番制で早朝から冷凍餌料の解凍や餌切りに追われています。
開館後は各水槽の給餌、ポンプ等をばらしてメンテナンスしたりとか、
小規模であれば水槽の配管工事や電気工事もやります。
大規模な工事は当然プロに任せますが、
自分たちが実際に操作するような個所は自分で工作したりもします。
病気の生物は、獣医と相談しながら薬を与えますが、
エサに混ぜるだけでなく薬浴という方法でもやります。
薬浴は病魚を隔離している水槽に薬を入れたり、薬を入れた容器に病魚を規定時間移したりと、
病状や魚の薬への耐性、耐性菌のリスクなどを考慮してケースバイケースで行います。
また、新着の生物は、基本的に病気を持ちこんでくるという前提で薬浴をし、
直接展示水槽に入れることはあまりありません
(過去の経験から大丈夫なモノは直接入れますが)。
この他に、必要な器材や生物の購入に関して、
関係各所との交渉、部内の手続きなどが細々とあり、けっこうこれに時間を食われます。
採集や出張などいろいろなレポートや、研究発表の原稿書き、企画展の準備などで、
膨大なデスクワークもありますし、いつでも生き物と接していられるわけではありません。
閉館近くになって、お客様が抜けたコーナーから大規模な水槽掃除が始まります。
大きな水槽であれば、ダイバーが潜って掃除していても「見世物」になりますが、
小型水槽ではお客様がかなり驚くし、水槽の水が濁りますので、閉館後に行うのが普通です。
落水(水槽の水を抜く)して、底に敷いた砂を取出して洗ったり、
展示生物の入れ替えなどは、休館日に行いますが、
無休の水族館では閉館後や水槽の前にパーテーションを置いてやっていますね。
156 名前:146 2005/05/23(月) 01:57:25 ID:BzzEPJgS
ルーティンワークの合間や終了後に、各自の研究を進めます。
好みや趣味で研究テーマを決められるわけではないので、
自分がやろうとしていることが、水族館の集客に繋がり、かつ教育的効果が高いか、
学術的にも価値があるか、水族館のグレードを上げられるかを
直属の上司を始め館長まで交渉し、納得させなければなりません。
これで初めて予算がつくわけですが、学会や研究会での発表、
展示への反映などといったそれなりの結果を出さないと、
二度と好きなことはやらしてもらえなくなりますね。
生物は、職員自らが採集に出たり(漁船に乗せていただいたり、潜水したり)、
熱帯魚屋や漁師から買ったり、他の水族館と生物交換をしたりして集めます。
採集は、漁業権とぶつかることが普通ですので、
県に特別採捕許可の申請を出し、漁協に承諾書を出してもらえるように交渉し、
海での潜水や船を出す場合は海上保安庁や港湾事務所などに許可申請したり届けを出します。
この辺のデスクワークは、現場が分らないとできませんので、飼育担当者の仕事になってきます。
157 名前:おさかなくわえた名無しさん 2005/05/23(月) 02:01:56 ID:ZrU3Ldta
>>155,156
研究が必要なところなどが博物館の学芸員と似ていますね。
飼育係になるために必要な資格や条件などはあるのでしょうか?
161 名前:おさかなくわえた名無しさん 2005/05/23(月) 03:19:25 ID:sCPJ84rt
水族館の人っていろんな仕事するんだなぁ。
研究もあるんだね。すごい。
魚に名前付けたりしますか?
162 名前:146 2005/05/23(月) 03:47:25 ID:BzzEPJgS
レスありがとうございます。
今日の夕方から生物交換のための出張に出ますので、
24日に帰宅後また書きこみさせて頂きます。
さぁ、いってくるぞー・・・片道300km。
がんがれ<おれ
164 名前:おさかなくわえた名無しさん 2005/05/23(月) 08:30:23 ID:/6vcFhJN
飼育員さんへ質問。
その1.
動物園の人が個体を見分けるように
やっぱり水族館の人も魚を見分けるのですか?
正直わたしにはわからない魚の区別ですが、
顔で見分けるのですか?模様で見分けるのですか?
どっちで個体判別する方が多いのでしょうか。
その2.
水槽の掃除は、毎回水を抜いてみるわけじゃないみたいですが、
スポンジでゴシゴシ・・・だけ?(水槽の内側の話です)
前にシンプルグリーンwのCMで、
「水族館でも使っています」「生物に影響を与えません」とかやってたんですよ。
そういう生物に影響を与えない洗剤でゴシゴシするのでしょうか。
それともぬめりを落としてアクリルガラスを綺麗にするだけ?
その3.
亡くなった魚は埋めるのですか。お墓を作るのですか。
その4.
飼育員はお魚を食べますか?
例えば、マグロの飼育員さんてお刺身食べるのかなあとかそういうことです。
その5.
こうするともっと水族館見学は楽しいよ、というポイントがあれば教えてください。
おススメの水族館ってありますか?
166 名前:仕方がないのかな 2005/05/23(月) 10:11:54 ID:YUG4MOaD
イルカは魚じゃないので水族館で見世物にするのはヒドイかも。
というか、魚でもヒドイかも。
海にいたら通常何百キロも泳ぐというのに
狭い水槽に閉じ込めておくのは、やっぱり人間のエゴだろう。
168 名前:146ではないが 2005/05/23(月) 11:03:57 ID:32gRKCnt
>166
ちょいと思考の度合いが浅いと思う。
そういうことは動物園の飼育係の方も含めて
そういった仕事をされている方々は大なり小なり考えたことがある(はず)。
そういったジレンマみたいなものを踏まえての仕事だ(と飼育係の知人は言っていた)。
そういった水族館や動物園の飼育係の仕事は「見世物」だけではない、
ってことを146の方は書かれている。
実際、彼らの活躍で、絶滅寸前の動物が保護されたり、希少動物の生態の研究から、
個体数の減少を食い止めたりすることが出来た例は少なくない。
そういった研究が全世界レベルでできるのも、
そしてそういうことに興味を持つ研究者が生まれる(子供達が興味を持つ)のも、
各地にある動物園や水族館の功績だと思う。
225 名前:146 2005/05/25(水) 21:32:33 ID:AZCayptv
ただいまです。
昨日の深夜に帰ってきたのですが、
へろへろだったので書きこみできませんですた。
あとで起きていられたらまた書きこみします。
ではでは
227 名前:146 2005/05/25(水) 23:15:29 ID:AZCayptv
なんとか落ち着きましたので、いろいろとお答えしますね。
>>148さん
学歴についてです。
学歴が必要ということはなかったのですが、募集に対して応募が多いので、
大学卒とか、水産学科、生物学専攻、水産高校以上、学芸員必須とか、
各水族館によってまちまちです。
公営や第三セクターでは、建前上年齢だけの制限になるのですが、
選考試験がたいてい大学レベルの生物学であったり、水産学であったり、
英語の問題に英語で答えるなど、事実上大卒であることが必要かもしれません。
>>157さん
学歴に関しては上記の通りです。
特に指定博物館になっている水族館で、学芸員を必須にしている場合以外では、
資格での受験制限はないと思います。
仕事上必要な資格は潜水士や小型船舶などがありますが、
これは持っていれば便利、というレベルでなくても不利ではありません。
飼育係になるための資格や条件は、どんな生き物でも愛せることと、
「これしかやりたくない」というヘンなこだわりを持たないことですね。
イルカの調教師になりたい、という人が多いのですが、
こういう人はイルカ以外の担当に配属するとあからさまにやる気をなくしたり、
イルカの担当(調教師という言い方は水族館ではしていません)にたいして嫉妬ばかりで
仕事にならないことがほとんどなので、最初からお引き取り頂いています。
228 名前:146 2005/05/25(水) 23:22:22 ID:AZCayptv
>>161さん
水族館の法的な立場は、博物館法に拠っています。
この法律では、水族館は生物やそれに関する資料を収集し、保管飼育し、
教育的配慮の元に展示して、観に来る方々のレクリェーションや調査研究に役立つ事業をして、
合わせてこれら生物や資料に関する調査研究をする機関であると定義されています。
ここで言う研究とは、生物そのものに関する研究だけではなく、
輸送方法、展示方法など多岐に渡る研究が行われています。
皆さんがご覧になる水槽は、そんな研究の成果なんです。
魚に名前を付けることはありますよ。
全ての魚に付いているわけではないのですが、各担当のお気に入りには付いているようです。
229 名前:146 2005/05/25(水) 23:47:25 ID:AZCayptv
>>164さん
では、ひとつずつ
その1.
魚の見分けはある程度つきます。
群れで暮し、水槽にも数百のオーダーで入れている魚では無理ですが、
数匹であればたいがい見分けは付いています。
判別の方法ですが、たいていは模様や全体的な色の濃淡であったり、ヒレや身体の傷などです。
なかには何年も一緒に暮していれば、顔で解る場合もあります。
その2.
基本的にスポンジでゴシゴシです。
これもなかなかテクニックが必要で、慣れないと水層底に敷いてある砂を
スポンジに噛ませてアクリルを傷だらけにしたりしてしまいます。
長い棒の先にスポンジを付けたり、潜ったりと方法はいろいろです。
洗剤は、まず使いません。使うとしたら、生物を全て避難させた上で塩素を入れます。
あとは熱湯ですね。
このとき、濾過槽に塩素や熱湯がまわると、重要な濾過細菌が死滅してしまいますので、
ポンプは止め、濾過槽に繋がるバルブは閉めておきます。
(水族館でいう濾過は、ゴミを取るだけではなく、生物の排泄するアンモニアを
細菌に拠よって分解させ無害化することが最重要です。)
その3.
死んだ魚は基本的に解剖し、死因を調べた後、必要なら標本として保存しますが、
たいていは生ゴミとして廃棄します。お墓を作ることはありません。
230 名前:146 2005/05/25(水) 23:48:02 ID:AZCayptv
>>164さん
その4.
食べますよ。
個人的な味覚の好みで食べない人もいますが、
たいていの飼育係は魚を食べるの好きです。
その5.
水族館を見るときのポイントですは、いくつかあります。
まずは、展示の最初から最後まで、どんなストーリーになっているかを考えながら観ると、
今までとは違った楽しみ方が出てくると思います。
一つ一つの水槽では、ストーリーの中でどんな位置付けなのかとか、
ディスプレイの配置が黄金率に従っているかとかみると面白いですね。
種名板にのっていない生物を探し出して、図鑑で確かめるのも楽しいです。
しかし、なによりも面白いのは、飼育係を捕まえて、いろいろと聞き倒してみるのがいいですね。
ほとんどの場合、聞いた以上のことを話してくれるはずですよ。
お勧めの水族館は、何を見たいかによって変わって来ますので、
ここでは敢えてお答えしないでおきますw
231 名前:146 2005/05/26(木) 00:06:39 ID:AZCayptv
>>166さん
エゴであることは承知しています。
皆さんがフォローしてくださいっていますし、それでほとんど答えになっていますが、
わたし個人の考えかたも書いておきます。
わたし個人としては、水産資源の有効活用であるとも考えています。
これはイルカを含めてのことです。
ただ、わたしは現状においてのイルカショーに付いては、反対です。
あれは過剰に動物を擬人化しているとしか思えません。
過激な自然保護団体は、イルカのショーを虐待と言って反対しますが、
その背景を作り出したのは水族館に拠る過剰に擬人化したショーであるとも考えられます。
まだ動物に心があるのかは解りません。
人間ぽい仕草や行動を、心がある根拠にしている人々が多いのですが、
それは我々が作り出してしまった幻影ではないかと思っています
(フリッパーシンドロームもありますが)。
毎日水族館の生き物を見ている限り、
彼らにある感情は、脅えと怒り、稀に喜びだけだと思います
(脅えは敵からの逃避、怒りは繁殖期の保護行動、喜びはイヌがシッポを振ったりとか)。
悲しみや哀れみと言った感情(心の動き)は人間特有のものと思われます。
この辺は動物心理学のさらなる発展を待ちたいと思います。
また、この動物心理学の発展に寄与し、動物に心があるかを解明できるのは、
我々水族館であるとも思っています。これからに期待してください。
241 名前:おさかなくわえた名無しさん 2005/05/26(木) 14:05:19 ID:3/fRFF1+
>>146さんの話、現場にいる人ならではの説得力があるなあ。
レス読まなかったら、こんな視点があるって気付かなかったよ。
これから水族館に行くとき、もう少し深く考えて鑑賞できそう。