【スレ49】10年前に写植の仕事をしていた人
21 名前:おさかなくわえた名無しさん 2010/02/04(木) 18:51:49 ID:P9/aGaac
結構前の話だけど、写植の仕事してました。
版下(はんした)と言って、印刷ぎりぎり前の校正をする人がいます。
印刷するだけの状態で校正する箇所が見つかった場合、
紙の表面を薄く削り、別に印刷した文字を貼付けます。
たとえば「○○しようぜ!」となるはずの文字が
「○○しようず!」になってたら
「ず」の部分だけをカッターで四角く切り込みを入れ、めくって剥がし、
別途印刷された「ぜ」に張り替えるのです。
出版された本、雑誌に限らず印刷物を見ると
一文字だけ僅かにずれてたり斜めになってたりしてる場合がありますが、
それはきっとその校正をした人があまり几帳面ではなかったか、
締め切りに追われて集中力も何もなくなってた状態の人です。
22 名前:おさかなくわえた名無しさん 2010/02/04(木) 18:59:19 ID:P9/aGaac
印刷の原版にする前の校正は何度か入りますが、
雑誌等の安い本は一度くらいで、原版になってから校正する事もあるので
雑誌は誤字・誤植が多いです。
物凄く高価、若しくは年に一度しか出ないような専門書は
何度も校正が入りますので、誤植の確率は当然低くなります。
原稿は素の状態でやってくるのですが、印象に残っているのは、
何十ページもある原稿で、最初は国語教師かと思えるくらいの奇麗な字を書く人が、
ページが進むにつれて、低学年の子が書いたような文字に変わっていく事。
当然一日では書ききれない量なので、
日を改めたと思われる行の始まりはまた国語教師。
一行前の低学年の人とは全く別人の字なのですが、
しばらくするとまた低学年に少しずつ変わっていってました。
それでも読める字だからまだいいのです。
辛かったのは、達筆すぎて読めない社長の社報に載せる直筆原稿。
秘書さんと思われる方がある程度は横に書いていてくれるのですが、
それでも読めない文字が多過ぎて、
その原稿が来る時期になるとかなり憂鬱でした。
原稿内容はとてもいい社長さんだと思わせるのですが、如何せん文字が…
私たちの間では「鬼社長の原稿来たよー」との声が上がると
「ああ…」と全員ががっくりしてました。
半ページ以上、秘書の方が手を入れて下さっているのを見ると、
社長が口頭で言うのを秘書さんが書いた方が、
秘書さんも手間がかからないのでは?とよく思ってましたね。
23 名前:おさかなくわえた名無しさん 2010/02/04(木) 22:18:33 ID:jKR/dR00
飯星景子のお父さんで、元読売新聞記者、
「仁義なき戦い」の原作者でもある、亡くなった飯干晃一さん。
元記者なので、内部で原稿がどう処理されて紙面になるか知ってた。
普通、窓口の担当者に「よろしくお願いします」と書く人は多いけど、
内部の原稿が回るであろうすべての部署へ、
担当者様と、列挙して挨拶してから原稿書き始めるのは、
あの人だけだった。
24 名前:おさかなくわえた名無しさん 2010/02/04(木) 22:20:26 ID:4Fyc4seW
>>21
面白かったです。
一般書の初版本を読んでいると
誤字や、文脈がおかしな箇所が出てきたりして、
校正で気がついても直せないのかと思っていました。
原板を削るのなら、字の部分しか直せないですね。
25 名前:おさかなくわえた名無しさん 2010/02/05(金) 00:13:41 ID:pgLuz0GJ
>>21
いつもお世話になっている立場のものです。
辺境の弱小出版社勤務。
数十冊の本を年1回、毎月のように再版していたのですが
(特殊専門書なので、たいして内容に修正はない)
何年も、何人もの校正の人間の目をスルーしてきた誤字を
版下最終チェックで気付いてしまうと、本気でorzになります。
そこで気付いてしまった自分が恨めしいほど。
その台(でしたっけ?)で他にも修正が見つかれば直しますが
時間と金額の問題で編集長判断でgo!だったりします。。
26 名前:おさかなくわえた名無しさん 2010/02/05(金) 00:33:12 ID:tgJT4YCf
>>21
同業者乙。
これだけPCが普及した今でも写植ってまだあるのかな?
27 名前:おさかなくわえた名無しさん 2010/02/05(金) 00:35:34 ID:nJEukX/S
>>24
ありがとうございます。
面白いと言って貰えて、ホッとしました。
本一冊が出来上がるまでには、本当にたくさんの人の手がかかってます。
明らかな誤字の場合は、赤ペンで注意書きが無くても直す事はあります。
そのページ自体に大幅な変更がある場合は、>21のような事はせず
一から原版を作り直します。
毎日指定されたレイアウトを見ながら
文字、写真、絵、グラフ等をはめ込んでいくので、
こちらの目も鍛えられます。
でも、文脈がおかしいと思っても、バランスが悪いと思っても、
校正で赤ペンが入って戻って来ない限り、そのままになります。
こちらは指示されたレイアウト通りにしかしてはいけないのです。
何度も同じ仕事をしていると、
レイアウトを見ただけで人が違うのが分かります。
実際には会った事も会う事もないのですが、
1月号の人と3月号の人は同じだなーと分かるんです。
職業病という物を初めて体験した仕事でもあります。
休日に本を読んでいて、誤字を一つ見つけた。
しばらく読み続けて、誤字を探してばかりいる自分に気付き、
本文は全く頭に入ってなかった、という事がその頃はよくありました。
本にのめり込んでるのに、物語ではなく誤植探しで終わってしまった、
という事を何度か繰り返し、あまり本は読まなくなりました。
28 名前:おさかなくわえた名無しさん 2010/02/05(金) 00:47:55 ID:pgLuz0GJ
>誤字を探してばかりいる自分に気付き、
以下略
すーっっごくよくわかります。
誤字・誤植だけでなく、
最近のPCで処理されているはずのデザインものに
カケを見つけてしまったり。
長年のお付き合いがあるオペレーターさんは、
こちらがつっこんだ手書きが読めないとき
わかりやすくゲタにしてくれますが、
最近の人はたまに妙な頑張りを見せて、
イラレなどで新しい字を作成してくださいます…読めないよ。
ゲタが分からないなら○でも×でも良いのに…。
専門的分野の特性上>>21さんの社長さんのように、
達筆過ぎ&旧字を使用されている原稿は
内部でテキスト打ちしてから流しますので、
印刷業者さんまで巻き込んではいないのですが
最近は社内の新人類がPCの誤変換だらけで楽しい
(と思わないとやってられない…
29 名前:おさかなくわえた名無しさん 2010/02/05(金) 00:56:55 ID:nJEukX/S
>>25
校正には時間と金額の問題がかなりシビアにありますよね。
>>26
同業者さんの苦労話もお聞きしたいですねw
今はどうなんでしょうね?
私が働いていたのはもう10年も前です。
会社にMACが2台納入された時は、時代の変化を感じましたが、
その会社も数年前に畳んでしまった事を知って悲しくなったものです。
版下はまだあるかも知れませんが、
写植や入力チームはかなり少なくなったんじゃないでしょうか?
今はほとんどがデータ入稿のようですから。
裏話を一つ。
タイムカードの所に、出来上がったばかりの色々な本が
「ご自由にどうぞ」と常に何冊か置いてありました。
小説系は割と早めに無くなるのに、
ジ○ニーズの売れっ子アイドルの写真集は誰も興味を示さず、
数ヶ月置かれ続けてたのは、ちと笑いました。
みんな何千円も出して買ってくれてるのにね。
30 名前:おさかなくわえた名無しさん 2010/02/05(金) 01:25:49 ID:sA5nDyXd
>>28
ゲタって何ですか?
55 名前:おさかなくわえた名無しさん 2010/02/05(金) 17:51:56 ID:v1/H8uN9
>>30
存在しない漢字にあてる記号。
58 名前:おさかなくわえた名無しさん 2010/02/05(金) 18:25:37 ID:nJEukX/S
>>30
〓 ←これですが見えますか?
「二」が超ゴシックで書かれている文字の事をゲタと言います。
由来は、まんま下駄の足跡に似てるからだと思います。
今は携帯会社が違っても顔文字が表示されるようになりましたが、
少し前まで機種が変わったら表示できないメールの文字
(機種依存文字と言います)は、ゲタで表示されていました。
初めて携帯で見た時はなぜか懐かしかったですw
校正でゲタを使う場合は、
読めない漢字とか機種依存文字はゲタで表示して、
校正者に「ここを特にチェックして!」の意味で使われていました。
59 名前:おさかなくわえた名無しさん 2010/02/05(金) 19:00:05 ID:pgLuz0GJ
そうか、既にケータイでも絵文字は変換してくれるのが当たり前で
ゲタなんて死語なんですね…orz
じゃあ新しい漢字を生み出してくれる人に感謝しながら、
自分の悪筆を矯正しよう。
とは言え、イキ、とカタカナで指定しているのに、
にんべんの新しい漢字を生み出すのは…ゆとり過ぎるよ。
カタカナ「ママ」指定が、22Q(文字の大きさ)で出てきたときには、
涙が出るほど笑った。
でも同業者に聞いたら、ありがちだと言われてもっと笑った。
「○○がきた」「○○が見た」は、
ミスタイピングで「○○がいた」になりがち。
「家政婦はいた」二次創作かと思った。
いちゃダメなのかと。打ったあとに見直せと。
「ひいろ」「きいろ」「ちいろ」が混じっている原稿は、
本気でどれが正しいのか分からなくなる。
というかゲシュタルト崩壊中。
70 名前:おさかなくわえた名無しさん 2010/02/06(土) 07:51:25 ID:Z644MOIW
>>58
ゲタって活字や写植に変換できなかった文字を
とりあえず後回しにしておいたことを示す注意信号みたいなもんで、
出版物とかの製作課程だけで使われるものだったけど、
デジタルテキストの時代になって
世間一般でも目にするようになったみたいですね。
ただ、wikipediaには伏せ字に使うとあるけど、見たこと無いな。
ゲタはあくまで「あとで処理するから忘れるな」という警告で使うもんだから、
伏せ字でゲタを使ったらミスが起きちゃうでしょ。
デジタルテキストではゲタを伏せ字に使うんかな?
書籍だと伏せ字には○を使うのが一般的。
556 名前:おさかなくわえた名無しさん 2010/03/08(月) 09:43:34 ID:kkztpWpg
>>21に関連する、というか同業だが
不況の折、仕事を選ぶ余裕が無くなって
「何でも仕事下さい!」というような状況になった結果、
俺の職場のデスクトップの単語辞書は…何という事でしょう!
あ「あぁぁぁ!」「あひぃっ!」
い「いぐぅぅぅぅ!!!」
う「うぅ…」「うぉぉぉ!」
え「えっ!やだぁぁ」「えっち!」
お「おっおうっ」
あ行と、は行の単語辞書は恐ろしい事になってた。
は行はおまえらの想像にまかせる。
あと今で言うスイーツ(笑)な女の名前が多数登録されてた。
557 名前:おさかなくわえた名無しさん 2010/03/08(月) 11:44:20 ID:O1AWasEB
>>556
名前はともかく、そんなひらがなの喘ぎ声まで自動登録されるもんなの?
むしろ微妙に違う台詞だった時に修正面倒臭そうなんだけど…?
小さい「あ」の数とか、濁点が付いているかどうか、とか。
559 名前:おさかなくわえた名無しさん 2010/03/08(月) 13:47:33 ID:6BSjy1cH
多分>>556はエロ雑誌の校正してるんじゃないか?
561 名前:おさかなくわえた名無しさん 2010/03/08(月) 23:50:17 ID:bJX+yO35
いや、そういう関係なんだろうけど、
もともとひらがなで入力しただけで変換もしていない文が
登録されるもんなのかな?とか、
多分、雰囲気で描いている喘ぎ声なんて
似てても微妙に違う言い回しが多いだろうに
その登録が邪魔にならなかったのかな?とか気になる。
校正だったら、単語登録って間違いの元になりそうだし。
562 名前:おさかなくわえた名無しさん 2010/03/08(月) 23:59:34 ID:kkztpWpg
>>557
良いとこ気付いたね。
小さいぁの数ももちろん数える。
小さいぁを1,2,3,4…と数えながら打ち足す。
ぁぃぅぇぉは消すより足す方が多いという微妙な数を
ユーザ辞書に登録するのがミソ。
濁点Ver.も、もちろんあったよ。
職場には女性もいたけど、
リストラ不安の方がでかくて辞める人もいなかったな。
>>559
正解。