【スレ19】宝石鑑定士
384 名前:おさかなくわえた名無しさん 2006/12/25(月) 11:46:08 ID:UCB8Q1D8
宝石や、骨董品等の鑑定をされる方、
いらっしゃればご回答お願いします!
アクアマリンとブルートパーズの違いとか、
キュービックジルコニアと本物ダイヤ、
フェイクパールと本真珠の違いとかは、
本当に分かるんでしょうか?
そして、例えば同じ宝石でも、グレードの違いとか。
また、骨董品や土器などが、何時の時代の、
どこあたりのものだとか、本当に分かるんですか?
また、絵や掛け軸の価値も、どこがどう良いのかとか。
なんでも鑑定団見てて、いつも不思議に思っています。
鑑定士の方々は、本当に分かって言ってるんだろうか?
また、どうやって具体的な値段をつけるのか、その基準も知りたいです。
391 名前:おさかなくわえた名無しさん 2006/12/25(月) 21:02:56 ID:Pn3/NI5N
>384
宝石鑑定士です。
(ちなみに、宝石の種類を見極めるのを「鑑別」、
ランクを見極めるのを「鑑定」と言います。)
基本的には、宝石に関しては ちゃんとした設備で鑑定をしない限りは
「断言をしない」という決まりにはなっています。
もし店に修理とかで持ち込まれた場合でも、
鑑定書がついていようと何だろうと
「無色透明の石、お客様によるとダイアモンド」と書いたり。
(実は本物じゃなかった場合、店ですり替えたんじゃ?とか
問題になることがあるので)
で、鑑別自体に関してですが、
まあ本当はかなりの確率で「見れば分かる」んですが
一応、それは無かったことにして
まっさらな状態で「非破壊検査」という物をします。
普通の物質なら、耳かき一杯ほどのサンプルを取って
機械にかければ一発なんでしょうが
宝石の場合はその「耳かき一杯」が大事なので。
代表的な検査は「肉眼での目視」「ルーペ(10倍)による目視」
「屈折率検査」「偏光鏡検査」「比重」「分光検査」「非可視光線検査」
などで、これらの検査結果を組み合わせて客観的に鑑定するわけです。
ちなみに、私の通っていた養成機関では
鑑定の実技は、正解率が100%でなくては合格しませんでした。
また、グレードに関しては 鑑定士によって
1~2ランクぐらいのズレは普通にあります。
だた、どこに頼んでもその1~2ランクの中に収まるので、
まあ だいたい一定に決まっていると思って言いでしょう。
393 名前:384続き 2006/12/25(月) 21:13:32 ID:Pn3/NI5N
で、おたずねのアクアマリンとブルートパーズ、
キュービックジルコニアとダイアモンド、
フェイクパールと本真珠に関しては
まず、見れば分かります。
アクアマリンとブルートパーズは、
同じ水色と言っても色の傾向が違いますし、
パールは表面に「成長の層」があるかどうか、
(本物はちょっとザラザラしていますね)
更にダイアモンドに関しては 鑑定士は
「上から内部の反射を見ただけでカットの角度が分かる」
くらいに訓練されているので、違う素材(ジルコニア)になれば、
当然内部の反射角が違うので「何かがおかしい」と気付くわけです。
また、自分はまだそこまでの境地に達していませんが
達人は 宝石を見ただけで産地が分かるとか・・・。
401 名前:おさかなくわえた名無しさん 2006/12/25(月) 23:41:24 ID:XMZREiNB
掛け軸、茶碗などを扱う古物商の娘です。
私自身は素人と変わりないので間違っていることもあるかも知れませんが
わかる限りで書きますと…
掛け軸や茶碗などの鑑定は
箱書き、落款(印影)、タッチなどを見て総合的に判断しているようです。
本人か有名な方が箱書きしている(筆跡も正しい)
落款と署名が本(専用の辞書みたいなのがあります)と一致している
タッチに絵師の特徴が出ているなどがポイントになるようですが、
父は「持ち主と(作品の)雰囲気でなんとなくわかる」と申しております。
鑑定団は良く一緒に見ていますが、軸は9割5分くらいで真贋をあてるので、
父の場合は本当にフィーリングなのかなぁと思います。
茶碗は同じ窯、同じ作者でも色々ありすぎて難しいようですが、
箱書き、柚の色、底の印を見ているようです。
掛け軸も茶碗も高価な物の場合は専門家に頼んで
(軸なら絵師の縁者の方が目録を作ってたり、
茶碗なら家元が箱書きしてくれたり)
鑑定してもらったりするのが多いんじゃないかと思います。
402 名前:おさかなくわえた名無しさん 2006/12/25(月) 23:42:37 ID:XMZREiNB
土器に関しては父の専門外なのでさらによくわからないのですが、
父の知り合いに中国骨董、土器専門の方がいて、
古代っぽいものばかり扱っておられます。
私も気になってお聞きしたことがあるのですが、
来歴やフォルムでわかる時もあると仰ってました。
大学で考古学を学んだ後、好きが高じて古物商になられたそうなので、
たぶん目も肥えておられるのでしょう。
ただ好き嫌いで買ってしまうから全然儲からないとも仰ってました(;^_^A
409 名前:おさかなくわえた名無しさん 2006/12/26(火) 01:36:57 ID:ZiSAzfdw
考古学部出身なんで土器の見分け方を書きます。
あまり真面目にやってなかったんで、間違っているところもあるかも。
過去の学者さんたちの努力のおかげで、
土器は既に分類パターンが確立されているので
分類はそれに当てはめてやっていきます。
一般の人だと馴染みがないから分からないだけで
料理の好きな人がいろいろな野菜を知っているように、
興味があって勉強していれば分類パターンも自然に身についてきます。
見分けるポイントは、
色(焼け具合・土の質)、形(大きさ・様式・土器の厚さなど)です。
成分分析をかけて炭素から年代を割り出す方法もありますが、
詳しく勉強してないので知りません。申し訳ない。
例えば縄文なら時代・地域によって
形や縄目の流行があるのでそれで見分けます。
ちなみに縄文土器と弥生土器、中・近世の素焼きの土器では
赤身の魚と白身魚くらいの違いがあります。
仲のいい先輩が陶磁器片の分類が得意で、
いろいろ教えてくれたんでそのことも書きますね。
陶磁器も土器と同じように見た目で分けていきます。
江戸時代の遺跡では、有名どころだと
瀬戸・備前・常滑、中国の景徳鎮・赤絵なんかが出てました。
陶磁器も土器と同じで断面や表面を見て、
その当時の交易ルートにあてはめて分類します。
瀬戸は断面が真っ白でガラス質なので、すぐに分かります。
常滑は黒や茶色のぼってりしてざらざらした厚手の焼き物です。
水甕やすり鉢がよく出て来ました。
景徳鎮や赤絵は表面の模様や釉薬の様子で決めていたかな。
破片が小さいのもあって、自分にはよく分かりませんでした。
すごくよく当たるので鑑定団に入れるんじゃないか、と先輩に言ったところ、
「断面が見れないから完形品の鑑定は難しくなるし、
相場も知らないので値段がつけられない」
と笑っていました。
土器鑑定ではないけれど、貝塚から出た魚の骨の一片一片を見て
「これはタイ、これはアジ」と分類していって、
昔の人の食生活を再現している人もいました。
452 名前:おさかなくわえた名無しさん 2006/12/27(水) 22:46:23 ID:Ygql1FTf
宝石関係の方いらっしゃったので、便乗質問おながいします。
シャネルやカルティエなどの高級ブランド店の宝石は、
ノンブランドの宝石と比べて、質は良いのでしょうか?
それともネームバリューで値段が法外に高いのでしょうか?
また、ジルコニアはともかく、
最近成分は全く同じである人工宝石があるそうですが、
そういうのについては、
本物と人工の区別がつかないのではないでしょうか?
457 名前:391 2006/12/28(木) 06:34:09 ID:Lt8DFvJm
>452
高級ブランドの宝石についてですが、
石自体の価値に関しては 付属の鑑定書を見てください。
こればかりは、ブランドも何も関係ない部分です。
これと同程度のノンブランドのジュエリーとの価格差、
つまりブランドとしての付加価値は、デザイン等に掛かってきているので・・・。
(これに関しては専門外なのでご勘弁を!)
ただ、その商品のコンセプトにもよりますが
ある程度は「良い物」を集めている場合が多いです。
(個人的に、「オマエらが買い占めてんのか!」
という感想を持ったことがあります)
458 名前:続き 2006/12/28(木) 06:35:06 ID:Lt8DFvJm
人工宝石に関しては、今のところは まず見破れる状態です。
理由は幾つかありまして、
まずパッと見で「怪しいだろ!」というものがあります。
何故かというと、宝石にはそれぞれ「理想的な色味」というものがあり、
合成宝石を作る場合は当然理想的な色=一番価値が高い色を作るので
結果として合成の宝石というのは、
みんな大体同じ色になってしまうってわけです。
(もちろん天然でもあり得る色なので、決め手にはなりませんが)
更に、上のレスで書いた
「分光検査(宝石の透過光などをスペクトルに分ける)」にかけますと
天然の物と人工の物とでは、同じように見えても
違う光を出しているのが分かります。
一番決定的なのは、拡大検査でして
これによって、自然の産物ならではの内包物(周囲の鉱物など)や
成長跡などを見つける事、反対に人工物ならではの成長跡や
合成釜の金属片などが見つかったりすることも。
(一番一般的な合成ルビーでは、カーブ状の成長跡が見られます。)
基本的には、「トパーズと水晶を鑑別出来るのと同じように」
合成宝石と天然宝石は鑑別出来ると考えて良いです。
合成石を作る方も、完全に天然物を見分けが付かない物を作って
流通させては、その宝石自体の価値を無くさせてしまう、
(天然だから価値があるのであって、
合成かも知れない物を天然石の値段で買う人は居ないので)
すると自分たちの作った合成石も価値を無くす・・・という事から
ある程度のところで踏みとどめているという部分も大きいと思います。
人工石には人工石なりの使い道や楽しみ方がありますしね。
これだけでは何なので、一つこの職業ならではのエピソードを一つ。
この仕事に就いている女性からよく聞く悩みですが、
「彼氏などが怖がって指輪などをプレゼントしてくれない」とのこと。
宝石が好きでこの業界に入ったろうに、皮肉なものですね・・・。